観 測 地 営巣場所および観察時刻

北海道岩見沢市郊外にある住宅地

営巣場所は一戸建て住宅に隣接する木造の車庫内で今年で3年連続の営巣となる。
車庫は出入り口が西向きで、通勤車両保管のため日中は空の状態(休日を除く)となっていることが多い。

観察時刻は休日以外は朝夕のみとなっているが、朝は午前5時頃、夕方は午後5時30分頃。

プロローグ  巣を発見  産卵期   抱卵期  孵化  子育て(前半)  子育て(後半)  巣立ち (エピローグ)

 


【4月中旬  今年も……の期待をこめて】

昨年は巣立ち間近かまで車庫に巣を作られたのを気づかなかったが、今年もまた巣を作るのだろうかとセキレイの姿が見え始めた4月中旬から注目していた。巣を作る条件を考えて古い巣を撤去したり、過去に巣を作った場所と同じ構造にしてあげようと板を貼り付けたりと自分なりに工夫して待ち続けた。 (下の写真参照)


梁と柱の交点に板を貼り付けてスペースを作った。(反対側と合わせて合計7箇所)


【4月下旬〜5月下旬 イライラの毎日】

一時期セキレイそのものの姿を見かけなくなったり、 また再び現れては車庫内に出入りしているのを見かけたりと、その繰り返しの日々が続いた。
しかし、枯れ草などを運んで巣を作っている様子は見えないし、かといって何処かで巣を作っているような様子も見えない。
今年は寒い日が続いたので遅れているのか、それともツガイとなる相手が見つからないのか……と、こちらはイライラの毎日。

 


【5月30日(日)  作りかけの巣を発見!】

昨年は6月中旬に雛が巣立っていったが、それから逆算するととっくに巣作りが始まっていてもおかしくないと思い、 車庫を綿密に調べた。
すると昨年の場所のすぐ上に作りかけの巣があるのを発見した。
果たして今年のものかどうかは不明だが、もしこれが今年のものだったとしたら何故中断したのか考えさせられる。


【6月上旬  巣作りへの期待はあきらめた】

それ以降も車庫への出入りは続いていたが、6月2日、3日の早朝に車庫を開けると2羽のセキレイが車庫内にいて飛び出して行った。
巣の確認をした直後でもあったことから多分ネグラとして車庫に入っていたのかと思ったが、それに驚いたのか姿を現す回数が以前より減ったためにもう巣を作る可能性はなくなったと思い、あまり気にもしなくなった。

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【6月12日(土) ついに巣を発見! 】

この日の昼過ぎ、ふと車庫の梁を見上げたら貼り付けた板から枯れ草らしきものが目に入った。

そこでまさかと思い脚立に上がって覗いたら何と巣があった。
その場所は板を貼り付けた場所の一つで、5月30日に調べた時は何もなかったのに……。

確かにその後も出入りしていたのは目撃していたが、巣を作っていた様子はまったく見せず、気がつかなかった。
まだかまだかと気をもんで注視していた頃には何もせず、もう時期的に営巣しないだろうとあきらめてからのすばやい行動だったことになる。
巣を発見した時は「嘘っ、やられた!」と思わず口にしてしまったが、それにしてもセキレイにすっかりだまされてしまった。

そこで巣をよく観察してみると昨年と同様に中心部には既に毛などが 敷きつめられていてほぼ完成されてはいる。しかし、周辺の状況からも卵を産んでヒナが巣立った形跡は見られないし、まさかわずか10日余りで巣を作って卵を産みヒナが巣立ったとは考えにくいし……、現状の把握に疑問が湧いた。

らにその右隣を見ると貼り付けた板の内側に枯れ草が少しだけあるのを発見した。
ここも5月30日の調査では何もなかった場所だが、おそらく初めはここに巣を作るつもりが何かの理由によってその隣にしたものと思われる。
ここも柱の正面から見て左側になるような条件の場所でこの条件は昨年と同じである。 (偶然の一致かどうか分からないが、車庫の入り口から入って迂回するようにして巣にたどり着く構造になっている)


【6月13日(日)  この先どうなる?】

巣を発見した翌日の朝、再び巣を覗いていると一匹のセキレイが車庫前にやって 来た。(下の写真)

あわてて脚立を片付けてから車庫を出て様子を見ていると口に何かをくわえて運んでいたが、この行動も数回目撃しただけで日中はまったく姿を見せなくなった。
果たして今年はこれから卵を産むのか、それともこれで終わりなのだろうかという疑問は依然残ったまま……。

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【6月15日(火) 産卵期】

前日の夕方は遠くでセキレイの姿を見かけたものの、車庫に近づく様子はなかった。
だから巣の様子は変っていないだろうと思ってはいたが、今朝、念のため覗いてみることにした。
まだ薄暗かったので肉眼では巣の様子はハッキリ見えなかったが、写真を撮ってディスプレイを見たら何と卵らしきものが写っていた。
そこで何枚か写して再度確認したら間違いなく1個の卵が写っていた。

これで今まで気をもんで一度はあきらめた営巣が昨年より約 1ヶ月遅れで始まったことが確認されたが、無事に巣立ちを迎えるまで邪魔をしないように十分気をつけて観察したいと思う。

今後の予想としてはニワトリと同じく1〜2日に1個の卵を産むと思われるので何日か経ってある程度の数になったら孵化に向けて温め始めるものと思われる。

夕方、覗くとさらに1個増えていた。昼間にやってきて産んだことになる。


【6月16日(水) 卵が3個】

朝になって覗くとまた1個増えて3個になっていた。
ということは前夜の午後6時以降に産んだことになり、1〜2日に1個のペースで産むという予想が外れたが、、それにしても1日に2個とは驚かされた。
これまた予想外なのは卵を産んだ無防備の巣を守るために監視しているのかと思いきや、セキレイの姿がまったく見えないこと。
もしかしたら産卵やこれからの温め作業とヒナの養育に体力をつけるため、餌を求めてあっちこっち飛び回っているのかもしれない。
夕方、覗いたが卵の数に変化なし。


【6月17日(木) 親鳥が……!!】

朝、覗こうとしたら親鳥が巣から飛び出していった。こっちもビックリしたが親鳥のほうはもっと驚いただろう。
しかし、遠くには行かず車庫の前でこちらの様子を伺っていたが、久しぶりに親鳥の姿を見た。
これまでは車庫のシャッターの開ける音で出て行ったが、卵を産もうとしていたのか、温めている最中だったのか逃げ出す反応が鈍かった。
これが今後に悪い影響を与えなければ良いが、困ったことに巣を覗く前に親鳥の存在を確認できないのが問題で、今後の観察に頭を悩ます。
CCDカメラまでは無理だし……。

悪いと思いつつも巣を覗いたが、1個の卵の向きが変わっているだけで昨夕のまま。
昨日の朝までのペースなら4個になっているのは間違いないと思っていたが、セキレイも製造機械ではなく生き物であるという証拠であろう。

それにしても卵を産む周期を考えると今朝は卵を産むために巣にいたように思われ、邪魔をしたようで後悔の念が湧いている。

夕方、オペラグラスを買って帰宅し、それで巣の様子を見たら親鳥がいなかったので、脚立に上がって巣を覗いてみた。
すると予想通りといおうか無事に4個目の卵が産み落とされていたので一安心した。
写真を撮っていると親鳥が帰ってきたので脚立を片付けて様子を見ているとすぐに車庫の中に入っていった。

朝に驚かしてしまった反省から、そーっとしておくことにしてこの日の観察を終えた。


【6月18日(金) 5個目? 抱卵(卵の温め)開始……?】

朝、オペラグラスで巣を眺めると親鳥らしき姿があった。シャッターの開ける音や車のエンジン音にも動じず、じっとこちらの様子を伺っている感じ。
その様子を撮ろうとしたが、ストロボ無しで写したら暗くて何も写らないし、かといってストロボをたけばまた驚かすことにもなりかねない。
そこで思案した挙句、遠くからズームを利かしてストロボをたいて試してみたら一枚目で親鳥の姿をとらえることができ、親鳥も飛び出さずに済んだ。
もうこれ以上の観察は無理と判断して車庫を出たが、果たして5個目の卵を産むのか、それとも孵化に向けて卵を温め始めたのだろうか。

夕方、巣を眺めると親鳥がいたが、少しすると車庫から出て行ったので、チャンスとばかりに脚立に上がって巣を覗いてみたら卵が5個になっていた。

左の写真は夕方に親鳥を撮ったものだが、朝のものと比べるとその姿勢に違いが見える。
巣に入っている角度による違いも考えられるが、朝のは卵を産んでいる姿勢で、夕方のは抱卵を開始したように見えなくもない。
いずれにせよ、抱卵の開始は間違いないだろう。


【6月19日(土) ハクセキレイは亭主関白?】

ハクセキレイの繁殖についてインターネットで調べてみた。

巣を作る場所はオスとメスの両方で探し、オスが巣材を最初に置くことによって決めるらしい。メスはそれに従って両方で巣を作るが、メスのほうがその作業を多く行うらしい。産む卵の数は4〜5個。
産卵後の抱卵(卵を温める)は両方で行うが、夜間はメスだけが行う。卵は約12日で孵化して雛となる。雛を養うのは両方で行うものの主にメスが中心で(夜間はメスだけ)、約14日で巣立つ。

平日は仕事で自宅にいないので休日以外の昼間の観察できないが、朝夕は親鳥の1匹しか見当たらない理由が理解できた。
人間も子育ては母親に頼るところが大きいが、ハクセキレイの場合はメスの占める割合がもっと大きいような気がする。
それにしてもその間、オスは何処で何をしているのだろうという疑問が湧いた。

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【6月下旬 抱卵期】

遠くから巣を眺めると必ず親鳥の姿が見られるようになり、間違いなく抱卵期に入ったようだ。
右の19日と21日に撮った写真を見てもその姿勢に大きな違いはない。
昨夕、セキレイの鳴き声が聞こえるので見渡すと道路にその姿があった。
オスが交代で来たのか思い、すぐに巣を眺めたがメスの姿が見えない。ということは、どうやら自分の食事か何らかの理由で巣を離れたものと思われるが、2〜3分もしないうちに戻っていた。

順調に行けば7月初旬にはヒナが誕生する見込みだが、無事を祈るばかりで、そのためにも邪魔をしないよう気をつけて見守りたいのだが……。

夕方、親鳥が巣を離れた。電線に止まって羽づくろいをしたり、餌を求めてか遠くへ飛んでいった。
その隙に巣を覗き込んだが、表面上は変わりないものの卵の中では新しい生命が動き出しているはずである。
間もなく親鳥が帰ってきて何事もなかったかのように抱卵状態に戻った。


ここのところ多少の音にも動じなかったのが、22日の朝、車庫のシャッターを開けて巣を眺めると親鳥が板の上に止っていた。
すぐに外に飛び出して行ったが、付近でその姿を見つけたのでやがて巣に戻るものと思われる。
「朝夕は邪魔者がいて落ち着いて抱卵できない」と訴えているようで悪い気もするが、こちらも気になってつい干渉してしまう。
わかっちゃいるけど……、やめられない。

巣を眺めると親鳥の姿が見られる日々が続いている。 また時々巣を離れるのは自分の食事のためと思われ、時間的には5分程度ですぐに戻ってくる。抱卵期間が約12日間ということで6月一杯はこの状態が続きそうで、今は観察も控え目にして静かに見守っている状況。

24日の夕方、親鳥が巣から出たのを確認して巣を覗いてみた。外見上は卵に変化はないものの、その中では新しい生命が脈動しているはず。(右上の写真)

ヒナが誕生した時のことを考えてカメラのテストをした。近くからストロボをたいて撮影するとヒナへの悪影響が考えられるので、少しでも遠くから安全に写せる箇所を探した。その結果、50cmくらい上にある梁の所からでも可能であることが分かった。ヒナが誕生したらこのアングル(右下の写真)からの撮影が中心となるはずである。

そうこうしているうちに親鳥が戻ってきた。そこで巣にどのようにして入るのか見ようと思い車庫の中で待っていたが、こちらの気配を感じてか車庫の前まで来るもののなかなか入ってこない。
仕方なく車庫から出て様子を見ていると車庫に入っていったのですぐに確認したところ、何もなかったかのように抱卵していた。


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【 6月30日 無事に孵化完了】

この日の早朝も相変わらず抱卵状態が続いていた。19日から抱卵し始めたので今日で12日目になり、文献によればそろそろ孵化の時期となる。
孵化する時はヒナが卵の中から、親鳥が卵の外から殻をつっついて卵を割るらしく、このことが語源になったのが「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉で「 禅宗において、今まさに悟りを得ようとしている弟子とそれを導く師の教えが絶妙に呼応すること」の意味合いで使われる。

夕方、親鳥がいなかったので巣を覗くと見慣れた卵の形が見えず、なにやらモヤモヤしたものが見えた。瞬時に「孵化した!」と独り言を繰り返しながらカメラを取り出した。
以前にテストしていたアングルから写すと孵化したヒナの姿が確認できた。
何度かカメラのシャッターをきっているうちに親鳥と間違えたのか、口ばしを一杯に真っ赤に広げて餌を待つ仕草をし始めた。
しかし、鳴き声はほとんど耳に聞こえず、これが習性だとすれば昨年巣立つまで気づかなかったのも無理はない。

やがて親鳥が戻ってきて餌を与えていたが、その風景もまた静かで穏やかだった。

右下の写真は7月1日の早朝に写したものだが、巣の縁でヒナを守りながら夜を過ごしたようだ。
5個の卵が無事に全部孵化したのが何よりも嬉しいが、約2週間後にも全部が無事に巣立つことを祈る。

 

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【7月上旬 子育ての時期=前半】

親鳥がいないスキに巣を覗くとヒナが寄り添ってジッとしている。写真を撮ろうとすると親鳥の気配と間違うのか一斉に口を開け始めるが、餌がないと分かると元の状態になる。
そこで試しに口で「ちゅちゅ!」と擬音を発して実験したらそれに反応して一斉に口を開けることが分かったが、いつかは親の鳴き声と聞き分けることが出来るようになるはずである。
口を開ける動作も孵化直後よりは行動的になり、身体を伸ばして口を高く突き出すようになって来た。
またその時には、かすかに「ミーミー」という鳴き声も聞かれるようになったが、少し離れると聞こえない。

2日の朝、親鳥のいる巣を眺めていたら車庫の前に1匹のハクセキレイがやって来た。
おそらくオスがやって来たものと思われるが、オスとメスの両方の姿を暫くぶりで確認することができた。


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家を留守にしたので、1日半ほど観察出来なかったが、一目見て身体が大きくなっていることが分かった。
右端のヒナを見ると胴体に毛はないものの足や翼など鳥らしくなりつつある。
さらに口を開けた時には巣から背伸びしているのが確認出来るなど確実に成長しているようだ。

この日は休日で家にいたので、親鳥が餌を与える様子を長時間にわたって観察することが出来たが、休む暇もなくという表現がピッタリする。
ヒナに餌を与えたらすぐに飛んで行って5〜10分後には戻るという行ったり来たりの行動で、ヒナの食欲旺盛ぶりが伺える。
この日の夕方、オスとメスの両方が車庫に近づくいるところを初めてカメラで撮影できた。


ヒナの姿が巣の横からでも見えるようになったことから真上でのカメラ撮影をやめて、斜め上からのアングルに変えた。
このほうがズームも使いやすいし、ヒナにとっても近距離からストロボをたかれずに済むので安全だと思う。

ヒナの鳴き声が10mくらい離れても聞こえるように大きくなって来た。
しかし、耳を澄ませばの話で、昨年聞き逃したとしても無理はないほどの大きさである。


孵化から1週間が経った。
車庫で物音を立てると親鳥と間違えて呼応する鳴き声もハッキリ聞こえるようになった。
写真では目も開いているが確認できるが、ややもすると巣から飛び出しそうな勢いで首を伸ばしていた。

身体が大きくなるのにつれて食欲も旺盛になるようで、親鳥は忙しそうに入れ替わりで餌を運んでいた。


ハプニング発生?
1匹のヒナが巣の外にいた。(円内)
果たして巣から落ちたのかそれとも巣立ちに備えて外に出たのか考えさせられたが、物音に呼応して口を開けるなど弱っている様子も見えないことから後者のような気がする。
それにヒナの身体が大きくなるにつれて巣も小さくなるだろうし、いつかは巣から出なければならないから成長の早い順に出ても不思議ではない。

その姿を観察すると昨年の巣立ち間近の姿(左写真)になりつつあることが分かるが、その成長の早さには驚かされる。巣立ちまであと1週間ほど……。

とりあえずは救助
夕方、巣を覗くと巣の外に出ていたヒナの様子がおかしいのに気づいた。朝の位置から下に下がって梁と壁の間に挟まっている感じで、物音にも反応しなかった。そこで脚立を近づけて軽く触れてみると弱々しい動きだったのでこれは巣から落ちたものと判断し、巣に戻すことにした。
やさしく持ち上げて戻そうとしたものの、巣は隙間も無いほどで置き場所を模索していたら親鳥が帰ってきたので、仕方なく他のヒナの上に乗っかるような感じで置いてその場から離れた。

暫くして親鳥がいないのを確かめて再び巣を覗くと他のヒナに乗っかるような形で頭を突き出しているヒナの姿があったが、これが落ちていたヒナだという確証は無い。
この一連の騒動(?)でヒナが警戒心を強めたことは間違いない。
落ちたヒナを巣に戻す時も他のヒナは身動きもせずジッとしていたが、その後はこちらの擬音や物音に対しても同様の姿勢となり、これまでのように口を開けることはしなくなった。


ヒナの様子が気になったので、朝早く巣を覗いたが、警戒心を強めたヒナはジッとしていた。
とりあえずは巣から落ちたと思われるヒナ(矢印)の口ばしに軽く触れてみた。
すると勢いは無いものの軽く口を開けたので、最悪の事態になっていなかったことを知り、一安心した。とはいうものの楽観出来ない状態であることは否定できない。
昨日の朝の段階で巣に戻していれば体力の消耗も少なかっただけに悔やまれるが、自然界では巣からの落下は死を意味するだけに何とか立ち直ってほしいと祈るのみ。

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【7月中旬 子育ての時期 =後半】

すっかり警戒心を与えてしまったようで巣を覗いても身動きもせずジッとしているが、親鳥が餌を与える時にはその鳴き声が車庫の外までハッキリ聞こえるので、順調に育っているのだろう。
しかし、その中に巣から落ちたヒナの声も含まれているのかどうかは分からない。

餌をくわえたまま電線で一休みする親鳥。
この後すぐに車庫の中に入っていった。

昼過ぎにヒナの数を確認しようと懐中電灯で照らして見たら5個の口ばしがあったので、巣から落ちたヒナも何とか生き延びているようだった。
ところが夕方近くにその様子を写真に撮ろうとして真上からカメラで写してディスプレイで数えたら4匹しかいなかった。
直前には5匹いたのにおかしいなぁと思ってよくよく見たら何と1匹が巣の外に出ていた。(左上の赤丸)
また巣から落っこちたのか……!?


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カメラのアングルを真上から横に変えて巣の外にいるヒナを写してみた。
すると2日前の時と違って昨年の巣立ち前の身体にかなり近づいているように見えた。
また梁と柱の間に挟まっているように見えないことから、そのままにして様子をみることにした。

親鳥は相変わらず2匹が入れ替わりというよりひっきりなしで餌を運んでいるが、その隙間を狙って観察するのに苦労させられている。
親鳥がいなくなったら脚立を出し、戻ってきた気配を感じたら脚立を片付けて車庫から出るという繰り返しである。


朝、巣を眺めると巣の外にいたはずのヒナの姿が見えなかった。そこで真上からライトを当てて確認すると5匹の姿があったが、ということは自力で巣に戻ったことになる。とにかく無事が確認されて良かったが、それにしても重なるようにして巣に入っている様子はいかにも窮屈そうで、巣から出る日もそう遠くはないだろう。

鳴き声も餌をもらう時に発する幼鳥の鳴き声の他に成鳥に近い鳴き声が聞かれるようになったが、その鳴き声は親鳥がいない時に聞かれることから親を呼んでいるのかもしれない。(写真の赤丸はヒナの頭部)


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徐々に行動的になってきたらしく巣からはみ出しているヒナの姿もあったが、その姿は昨年の巣立ち直前のもの(左写真)にほぼ近づいてきた。
昨年は巣から近くの場所に出て2日後に巣立っていったが、今年はどうなるのだろうか。

親鳥の運ぶ餌も大きい獲物が多くなり、口にくわえているのがはっきり分かるほどの大きさになってきた。


あっ!、1匹足りない!
夕方、巣を覗くとヒナの数が3匹になっていた。
残りの2匹は巣立ちに備えて巣から移動したと思い、付近を捜すと昨年と同様に柱の反対側にいたが、1匹しかいなかった。

 

 

 

 

そこで巣から落ちて戻れないのかと思い車庫内を調べたが、その姿を見つけることが出来なかった。
仕方なく家に入ってくつろいでいると親鳥の鳴き声がこれまでにないほど激しく聞こえたので外に出てみると、車庫の入り口に野良猫の姿があった。
野良猫はこちらの姿を見てすぐに逃げ出して行ったが、その瞬間、もしかして……という思いが湧いた。
野良猫は車庫の中の様子を伺っていたが、それは昼間のご馳走に味をしめて再び求めているようにも見えたからだが、間違いないだろう。
おそらく巣から移動している間に襲われたものと思われるが、全部が無事に巣立ちを終えるのを願っていただけに残念だ。


朝、5匹になっているのでは……と期待しつつ巣を覗いたが、巣に3匹と柱の反対側に1匹の計4匹に変わりはなかった。

1匹でいるヒナの写真を撮ると壁に反射して2匹いるように写っていたが、もしかしたら霊魂だったりして……。

野良猫対策として、鳥は入れるが猫は入れないようにと車庫のシャッターを下5cmだけ開けて閉めることにした。

夕方、巣から出て柱の反対側に移動しているヒナの数が増えているだろうと思って見たら1匹もいなかった。
「また何かあったのか!」と思いながら巣を覗いたら4匹になっていたので安心したが、自分で巣に戻ったことになる。
行動的には考えられるが、一度、巣から出たらそのまま巣立ちを迎えると思っていただけに意外だった。
もしかしたら車庫の中で飛ぶ練習をして柱の反対側に行ったり巣に戻ったりしているのかもしれないが、そうだとすると途中で野良猫に襲われることも十分に考えられる。

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【7月15日  巣立ち(強制的?)】

あっ!、やっちゃった!
朝、ヒナの写真を写していたらストロボの光に驚いたのかバタバタとヒナが巣から飛び出してしまった。
一瞬の出来事で「しまった!」と思っても後の祭り。
そのうちの1匹が車庫の壁に激突して動けない状態に陥ったので拾い上げて巣に戻したものの無事に回復するのをただ祈るのみ。巣に戻した時に1匹が巣に残っていたので、こっちは一安心。
外に飛び出した1匹を親鳥が見つけて餌を与えていたが、その姿が弱々しかったので捕まえて巣に戻そうとしたが、飛び回って捕まえることは出来なかった。こんな状態で果たして外敵から身を守ることが出来るのだろうかという不安が一杯。
残るもう1匹の行方は分からないまま。


この写真を撮った直後に飛び出していった

それにしても野良猫以上の敵を自分が演じてしまうとは弁解の余地もなく、ただただひたすら反省するのみ。

果たしてどんな状況になっているのか一日中気になっていたが、夕方に帰宅しても車庫を開けるのが正直いって怖かった。
そこで少し様子を見ていると親鳥が車庫の中に入っていったので耳を澄ませているとヒナの声が聞こえた。しかし、その鳴き声は1匹で車庫に激突したヒナの安否が気遣われた。
親鳥が出て行ったのを確認して車庫を開け巣を覗こうとしたら1匹のヒナが巣のそばの見える所に止っていた。
それを見てそっとしておこうと脚立を片付けて車庫から出ようとしたらそのヒナが飛び立ったが、外には飛び出さず反対側の梁に移動しただけだった。
それを確認して車庫から出ようとしたら再び羽ばたく音が聞こえたので振り返ると、1匹のヒナが車庫から飛び出していった。そうなると巣には激突したヒナだけが残っているはずと思い、脚立を出して覗いたら……巣は空っぽだった。
一瞬、「?」と思ったものの、そこに死骸や弱ったヒナの姿がないということは激突のショックから立ち直ったことの証で、ひとまず胸をなでおろした。
そうこうしているうちに親鳥が戻ってきたので「車庫にはもうヒナはいないのに……」と思いつつ車庫を出たが、何とヒナの声が聞こえたのには驚いた。そこで親鳥が出て行った後で車庫に入って調べたら反対側の梁に移動したヒナがその場にいるではないか。(右の写真)
ということは直前に車庫から出て行ったのは別のヒナということになるが、いずれにせよ壁に激突したヒナが回復したことだけは間違いなく確認できた。

無理やり巣立ちをさせられたヒナの動向が気になるところだが、100mほど離れた空き地からヒナと親鳥が呼応する鳴き声が聞こえた。おそらく空き地の草むらに潜んでいるヒナを養育しているものと思われるが、 当然のことながら車庫に残されたヒナに餌を運ぶ回数はめっきり減ってしまったようだ。


車庫に取り残された形になってしまった1匹だが、今朝も同じ場所にいた。親鳥がくるのを待ち構えている様子だったが、最後の1羽だけは普通(?)の巣立ちをさせてやりたいと思い、遠くからの写真を1枚だけ写して車庫を離れた。
それにしてもこの1羽は壁に激突したヒナなのかそれとも他のヒナと一緒に飛び出さずに巣にジッとしていたヒナなのか聞いてみたい気もする。
果たして今日の夕方までには先に巣立った仲間と合流するのだろうか。

夕方、家に帰ると親鳥(1匹)が車庫の上にある電線に止っていたが、羽づくろいに専念していて車庫の中に入る気配がまったく感じられなかった。そこで最後に残ったヒナが巣立ったのかどうか確かめようとして車庫の奥横にある出入り口の扉を開けて中に入ろうとしたら、車庫の中でヒナが飛び回ったのですぐに扉を閉めた。幸い車庫の外に飛び出さずにすんだが、親鳥は相変わらず電線の上で無関心を装っていた。
暫くするとヒナの鳴き声が大きく聞こえたので親鳥がやっと餌を
与えに車庫に入ったのかと思いシャッターの見える場所に駆けつけたら何とそこには自力で車庫の外に出てきたヒナの姿があった。あわててカメラを取りに行って戻り何とか飛び立つ寸前の姿を撮ることができたのはラッキーだった。(左写真の赤丸内)
この後、ヒナは隣の庭からさらに隣の庭へと移動していったが、それを追いかけるように無関心を装っていた親鳥も動き出した。

それを見て、やっと正常の巣立ちをさせることが出来たと思い安堵したが、それが日中ではなく帰宅後だったことに「鶴の恩返し」的なイメージを勝手に抱いて自己満悦に浸ってしまった。


車庫に残された巣を眺めていると1ヶ月間の奮闘ぶりがよみがえってくるが、その証拠も確かに刻まれている。
巣の中には給餌の際に落ちてしまったと思われる虫の残骸が数個散らばっていたが(左写真の赤丸内=画像クリックで拡大写真)、卵の殻が見えないのは孵化と同時にヒナが傷つかないようにと親鳥が捨てたものと思われる。
また巣の材料に使われたビニール紐は我が家の畑に散乱していたものに違いない。
 

 

最終的には全部で5匹いたヒナのうち2匹が驚かされて仕方なく巣立ち、1匹が壁に激突したショックを乗り越えて巣立ち、1匹が正常に巣立ち、そして1匹が事故死(猫に襲われた?)ということになったが、ヒナが巣立ってから気のせいか空を舞うカラスなどの外敵の数が増えたように思える。
それを見てセキレイの親鳥が激しく鳴いて威嚇しているのを見かけるが、こちらとしては自然界の掟と戦いながら無事に生き抜いてほしいと祈るだけで何の手助けも出来ない。
来年もまた営巣するのを楽しみに待ちたいと思うが、もし営巣したら今回の観察における失態を教訓にして次回は静かに見守りたいと思う。

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